日本は安全な国だと言われることがあります。
夜に一人で歩ける。電車で居眠りできる。落とし物が戻ってくる。
そんな話が海外で紹介されることもあります。
2026年11月1日には、イーロン・マスク氏がXで、日本人による犯罪は存在するのかという趣旨の疑問を投稿し、話題になりました。
投稿はこちらです。
でも、日本に住んでいれば、犯罪のニュースを目にすることはあります。
では、海外で言われるように、日本は本当に安全な国なのでしょうか。
今回は、イメージだけではなく、警察庁の統計や海外政府の情報を使って調べてみました。
結論:日本は海外から治安の良さを評価されている。でも犯罪がないわけではない
最初に結論です。
日本は海外政府の渡航情報でも比較的治安の良い国として扱われていますが、実際には多くの犯罪が発生しています。
例えば、英国政府の日本に関する情報では、日本の犯罪水準は低いと説明されています。
一方、夜の繁華街での犯罪被害や、電車内での性的な迷惑行為などについて注意も呼びかけています。
つまり、「比較的安全な国である」という評価と、「犯罪被害に注意が必要」という事実は両立するのです。
2025年、日本では何件の犯罪が発生したの?
警察庁の確定統計によると、2025年の刑法犯認知件数は次のとおりです。
77万4,142件。
これは、警察が認知した刑法犯の件数です。
1年間でこれだけの件数が確認されているのですから、「日本には犯罪がほとんど存在しない」と考えるのは正確ではありません。
ただし、ここでいう認知件数は、警察が把握した犯罪の件数です。
実際に起きたすべての犯罪が含まれているとは限りません。
また、国際比較では各国の犯罪の定義や集計方法が違うため、単純な件数だけで順位を決めることはできません。
出典:政府広報オンライン・全国地域安全運動、警察庁・犯罪統計
日本の犯罪は増えているの?減っているの?
長い期間で見ると、日本の刑法犯認知件数は2002年の約285万件から大幅に減少しました。
しかし、2021年を底に再び増加しています。
直近5年間の数字を比較してみましょう。
| 年 | 刑法犯認知件数 |
|---|---|
| 2021年 | 568,104件 |
| 2022年 | 601,331件 |
| 2023年 | 703,351件 |
| 2024年 | 737,679件 |
| 2025年 | 774,142件 |
2025年は前年より約4.9%増え、4年連続の増加となりました。
さらに、2025年の認知件数は、新型コロナウイルス感染症が広がる前の2019年の水準を上回っています。
つまり、2002年からの長期的な減少と、2022年以降の増加は、どちらも事実なのです。
どんな犯罪が多いの?
2025年の刑法犯認知件数では、窃盗が全体の大きな割合を占めています。
窃盗とは、他人の物を盗む犯罪です。
例えば、自転車盗や万引きなどが含まれます。
警察庁の統計によると、2025年の窃盗犯の認知件数は51万3,931件で、全体の約66%を占めました。
また、詐欺などの犯罪も問題になっています。
インターネットや電話を使った詐欺は、外を歩いていて危険を感じる犯罪とは違います。
そのため、街の安全な印象だけでは、犯罪全体の状況を判断することはできません。
出典:nippon.com・警察庁の2025年犯罪情勢を整理した資料
外国人はなぜ日本を安全だと感じるの?
海外の旅行者が日本を安全だと感じる理由として、公共交通機関や街中での経験が語られることがあります。
ただし、旅行中に安全だと感じたという体験と、犯罪が少ないことを統計的に証明することは別です。
例えば、英国政府は日本の犯罪水準は低いと説明する一方、夜の繁華街では注意が必要だとしています。
このような公的な渡航情報を見ると、日本の安全性についての評価は、単純な「安全か危険か」の二択ではないことが分かります。
日本の治安について考えるときは、旅行者の実感と犯罪統計の両方を見ることが重要だと思います。
日本人による犯罪は本当に少ないの?
イーロン・マスク氏の投稿では、日本人による犯罪があるのかという点が注目されました。
しかし、犯罪は国籍だけで説明できるものではありません。
日本人による犯罪も実際に発生しています。
また、犯罪の件数を国籍別に比較するときには、人口構成、年齢、在留状況、犯罪の種類、統計の対象などをそろえる必要があります。
国籍だけを理由に、ある集団が犯罪をしない、あるいは犯罪をしやすいと決めつけることはできません。
今回の投稿は、日本の治安について改めて考えるきっかけにはなりますが、投稿内容そのものが統計的な証拠になるわけではありません。
日本は安全なのに、なぜスマホのシャッター音が消せないの?
今回のXでの議論では、日本のスマートフォンのシャッター音についても疑問が出ていました。
日本のスマホは、盗撮防止を目的として、撮影時に音が鳴る仕様が広く採用されています。
ただし、すべてのスマホにシャッター音を義務付ける法律があるわけではありません。
詳しい仕組みや海外との違いはこちらで調べました。
関連記事:【中学生でもわかる】日本のスマホはなぜシャッター音が消せない?法律ではない理由
日本は安全なのに、なぜ女性専用車両があるの?
もう一つ、海外で疑問に思われているのが女性専用車両です。
日本の鉄道会社では、痴漢などの迷惑行為への対策として、女性専用車両を導入しています。
女性専用車両があるからといって、日本のすべての電車が危険という意味ではありません。
一方、女性専用車両が設けられている背景には、現実の被害や利用者の不安があります。
鉄道会社の公式説明や海外旅行者の疑問を、別の記事でまとめました。
関連記事:【中学生でもわかる】なぜ日本の電車には女性専用車両がある?導入理由と海外の反応
安全な国という評価と、防犯対策は矛盾するの?
ここまで調べてみると、最初の疑問に戻ってきます。
日本は安全だと言われることがあるのに、なぜ防犯対策が必要なのでしょうか。
考え方の一つは、犯罪が少ないことと、犯罪を防ぐ努力を続けることは矛盾しないというものです。
防犯カメラ、交番、交通機関での注意喚起、スマホの盗撮防止対策など、社会にはさまざまな取り組みがあります。
ただし、それぞれの対策が犯罪をどの程度減らしたのかを判断するには、別の調査が必要です。
対策が存在するという理由だけで、それが治安の良さの原因だと決めつけることもできません。
安全だという評判と、実際の犯罪統計、そして防犯対策の効果は、それぞれ分けて考える必要があります。
まとめ:日本の治安を考えるなら、イメージと数字の両方を見たい
2026年11月、イーロン・マスク氏の投稿をきっかけに、日本の治安が海外でも話題になりました。
日本は海外から比較的安全な国として評価されています。
しかし、2025年の刑法犯認知件数は77万4,142件あり、2022年以降は増加が続いています。
また、痴漢や盗撮、窃盗、詐欺など、さまざまな犯罪が実際に発生しています。
安全というイメージをそのまま信じるのも、犯罪があるから危険な国だと決めつけるのも、少し違うように思います。
大切なのは、海外の評価と日本の現実を、両方とも知ることです。
普段当たり前だと思っている日本の暮らしを、外国人の疑問をきっかけに見直してみる。
そんなことも、ニュースの面白い読み方なのかもしれません。
参考資料
- 政府広報オンライン:全国地域安全運動・2025年犯罪統計
- 警察庁:犯罪統計
- 英国政府:日本の安全と治安に関する渡航情報
- nippon.com:2025年の犯罪情勢
- X:イーロン・マスク氏の2026年11月1日の投稿
※2026年11月4日時点の情報をもとに作成。刑法犯認知件数は警察が認知した件数であり、実際に発生したすべての犯罪を表すものではありません。国際比較には統計上の注意が必要です。

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