2026年になって、YUKIさんの「JOY」がどう作られたのか、その裏側を少し聞けたのが個人的にかなり熱かったです。
「JOY」は昔から何度も聴いてきた曲ですが、なぜあの独特の気持ちよさがあるのか。
どうしてシンプルな繰り返しなのに、あれだけ印象に残るのか。
今回、蔦谷好位置さんが自身の楽曲制作について語る中で、「JOY」の構成や制作時の考え方についてかなり具体的に話していました。
特に印象に残ったのが、
「サビで盛り下がっている」
という話です。
普通のJ-POPとは少し違う考え方で作られていたようです。
今回は、蔦谷好位置さんが語っていた内容をもとに、YUKI「JOY」の制作の裏側を自分なりに整理してみます。
「JOY」はJ-POPと洋楽的な作りを組み合わせた曲
まず話されていたのが、J-POPと洋楽の曲構成の違いについてです。
日本のポップスでは、
・Aメロ
・Bメロ
・サビ
という流れがあり、Bメロで溜めて、サビで一気にエネルギーを解放するような構成がよくあります。
「サビが来た」と分かりやすく盛り上がる作りですね。
一方で、ブルースやロック、ロックンロール、ファンク、ヒップホップなどには、大きく展開せず、同じコードやグルーヴを繰り返しながら成立している曲も多くあります。
特にファンクなどでは、ワンコードに近い形で押し通すこともあります。
そこで蔦谷好位置さんは、
「こういう作りを日本の音楽でできないか」
と考えたそうです。
その一つの例として挙げていたのが、YUKI「JOY」でした。
つまり「JOY」は、
洋楽やダンスミュージック的なシンプルな反復
と
J-POPらしいメロディや感情の動き
を組み合わせて作られた曲だったということです。
「JOY」は基本的に同じコード進行で進んでいく
「JOY」は、コード進行を次々に変えてドラマを作るタイプの曲ではありません。
蔦谷好位置さんの説明では、基本となっているのは「3・4・5・6進行」。
アレンジによってデモからはかなり変化しているものの、コード進行そのものは変えていないと話していました。
つまり、
コードをどんどん変えることで展開させるのではなく、
・メロディ
・リズム
・音色
・アレンジ
・テンションの上げ下げ
などによって曲を成立させています。
今まで何気なく「JOY」を聴いていましたが、言われてみれば確かに、同じ場所をぐるぐる回っているような不思議な中毒性があります。
一番驚いた「サビで盛り下がっている」という話
今回の話で、個人的に一番面白かったのがここです。
蔦谷好位置さんは「JOY」について、
「サビで盛り下がっている」
という趣旨の説明をしていました。
普通のJ-POPなら、
Aメロ
↓
Bメロ
↓
サビ
と進むにつれて盛り上がり、サビでメロディも大きく動くイメージがあります。
ところが「JOY」はそうではありません。
むしろAメロの方にJ-POPらしいメロディの動きがあり、サビになるとメロディがシンプルになるという作りです。
普通のJ-POP
Aメロ:抑える
↓
Bメロ:溜める
↓
サビ:解放する
JOY
Aメロ:比較的メロディが動く
↓
サビ:シンプルになる
という、少し逆の構造になっているわけです。
「JOY」のサビって、聴いているとものすごく気持ちいいんですよね。
だから「サビで盛り下がっている」と言われると最初は意外でした。
でも改めて考えてみると、サビだからといってメロディを複雑にして盛り上げているわけではありません。
シンプルなメロディを繰り返しながら、グルーヴやアレンジによって気持ちよさを作っている。
これを知ってから聴くと、かなり印象が変わります。
最初は4小節の展開だけで1曲を押し通そうとしていた
さらに面白いのが、当初はかなり徹底してシンプルな構成にしようとしていたことです。
蔦谷好位置さんは、同じような4小節の展開を使いながら、1曲を押し通そうと考えていたそうです。
かなり洋楽、あるいはダンスミュージック的な発想です。
ただ実際にやってみると、それだけで曲を成立させるのは非常に難しかった。
特にサビまでシンプルにしてしまうと、日本のポップスとして聴いたときに何かが足りない。
そこでJ-POP的な要素を加えていったそうです。
AメロをあえてJ-POPらしいメロディにした
その一つがAメロです。
曲全体のアレンジや構造は洋楽的。
でもAメロについては、あえて少しJ-POPらしいメロディにしたと話していました。
ここが「JOY」の絶妙なところなのだと思います。
全部を洋楽的にするのではなく、
土台は洋楽・ダンスミュージック的
歌のメロディにはJ-POPらしさを残す
というバランスになっています。
だから洋楽的な反復の気持ちよさがありながら、日本のポップスとしてもすんなり耳に入ってくるのでしょう。
J-POPらしい「泣きのゾーン」も作った
さらに、同じ展開だけでずっと進むのではなく、途中でテンションを変化させる場所も作っています。
蔦谷好位置さんは、それを「泣きのゾーン」と表現していました。
テンションを変化させ、曲の中に感情的な場所を作る。
これについては、非常にJ-POP的な手法だと説明しています。
つまり「JOY」は、
洋楽的な反復
+
J-POP的なメロディ
+
J-POP的な感情の起伏
によって成立しているということになります。
完全に洋楽へ寄せるのでもなく、典型的なJ-POPにするのでもない。
この中間地点をうまく作ったのが「JOY」だったのだと思います。
アレンジは田中ユウスケさん
「JOY」についての話では、アレンジを担当した田中ユウスケさんについても触れられていました。
デモからアレンジはかなり変化したそうですが、コード進行自体は変わっていないとのこと。
つまり、同じコード進行をベースにしながら、アレンジによって現在の「JOY」のサウンドへ持っていったわけです。
シンプルな構造の曲だからこそ、アレンジの役割もかなり大きかったのだと思います。
YUKIさんだから成立した「JOY」
そして、もう一つ大事な話がありました。
蔦谷好位置さんは「JOY」が自分だけの力で成立した曲ではないことも話しています。
プロデューサー。
アレンジャー。
そしてYUKIさん。
特にYUKIさんについては、強いアイコン性を持った存在で、それがなければ成立しない曲だったという趣旨で語っていました。
これはすごく納得できます。
「JOY」は曲の構造だけを見ると、かなりシンプルです。
でもそこにYUKIさんの声、歌い方、存在感が乗ることで、一気に「JOY」になる。
同じ曲を別の歌手が歌ったら、まったく違う印象になっていた可能性があります。
さらに蔦谷好位置さんは、
「時代もあったかな」
という趣旨の話もしていました。
楽曲。
アレンジ。
プロデューサー。
YUKIさんという存在。
そして、その時代。
いろいろな条件が重なって「JOY」が成立したということなのでしょう。
「JOY」の作りをまとめると
今回の話を簡単に整理すると、こんな感じです。
コード進行:基本的にシンプルな進行を反復
曲の土台:洋楽・ダンスミュージック的
Aメロ:あえてJ-POPらしいメロディ
サビ:メロディをシンプルにしている
展開:コードではなくアレンジやテンションで変化
感情:J-POP的な「泣きのゾーン」を作る
アレンジ:田中ユウスケさん
ボーカル:YUKIさんの存在感も含めて成立
その他:当時の時代性も影響
こうして見ると、「JOY」がシンプルなのに何度も聴きたくなる理由が少し見えてくる気がします。
2026年になって「JOY」の裏側を聞けたのが熱かった
「JOY」は、昔から知っている曲です。
それを2026年になって、
「なぜこういう構成にしたのか」
「なぜサビをシンプルにしたのか」
「どこにJ-POPらしさを入れたのか」
といった制作の裏側を、作った側から聞けたのは個人的にかなり熱かったです。
完成した曲だけを聴いていると、
「JOYってこういう曲だよね」
で終わります。
でも制作側では、
洋楽的にもっとシンプルにしたかった。
でも、それだけでは成立しない。
だからAメロにはJ-POPらしさを入れる。
感情的な「泣き」の場所も作る。
サビは逆にシンプルにする。
そんな試行錯誤があった。
それを知ると、昔から知っている曲でも、また違って聞こえてきます。
特に、
「サビで盛り下がっている」
という視点は、次に「JOY」を聴くときに思い出したいところです。
僕もこの話を聞いてから、改めて「JOY」を聴き直したくなりました。


コメント