「奨学金って、勉強するためにもらえるお金じゃないの?」
「大学を卒業したら返さないといけないの?」
「金利が上がっているけど、奨学金も危なくない?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は日本の奨学金には、返さなくてよいものと、卒業後に返さなければならないものがあります。
そして、返済が必要な奨学金は、名前こそ「奨学金」ですが、お金を借りて返すという意味では借金です。
20年、30年前にも、奨学金の返済が生活を苦しくするという問題はありました。
それなのに、今度は金利まで上がってきています。
そこで今回は、2026年10月時点の制度や公表資料をもとに、奨学金の仕組み、金利、返済額、将来のリスクを調べてみました。
奨学金って何?まずは簡単に説明!
奨学金とは、家庭の経済状況などによって進学費用を準備することが難しい学生を支援する制度です。
大学や専門学校などに進学するための学費や生活費を支える役割があります。
日本で代表的なのは、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。
ただし、すべての奨学金が同じ仕組みではありません。
| 種類 | 返済 | 利息 |
|---|---|---|
| 給付型奨学金 | 原則不要 | なし |
| 第一種奨学金 | 必要 | なし |
| 第二種奨学金 | 必要 | あり |
給付型は、基本的に返さなくてよいお金です。ただし、学業などの条件を満たさなくなった場合などには、返還を求められることがあります。
第一種は無利子で借りられます。
第二種は利息が付くため、借りた金額よりも多く返すことになります。
同じ「奨学金」という名前でも、将来の負担は大きく違います。
2026年、奨学金の金利は何%になったの?
2026年9月に貸与が終了した第二種奨学金の基本月額について、利率固定方式は年3.0%、利率見直し方式は年2.4%です。
2025年9月の固定方式は年1.982%、見直し方式は年1.2%でした。
| 貸与終了年月 | 固定方式 | 見直し方式 |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 1.982% | 1.2% |
| 2026年9月 | 3.0% | 2.4% |
固定方式では、わずか1年間で約1ポイント上昇しました。
見直し方式では2倍になっています。
ただし、この数字はそれぞれの月に貸与が終了した人に適用される利率です。すでに借りているすべての人の金利が、一斉にこの数字へ変わったわけではありません。
また、2026年10月27日時点で確認できる2026年9月貸与終了分の数字を掲載しています。
金利3%って高いの?昔と比較してみよう
「たった3%なら大したことないんじゃない?」
そう思う中高生もいるかもしれません。
しかし、金利は借りる金額と返済期間によって、負担が大きく変わります。
例えば2010年10月の第二種奨学金の固定利率は年1.07%でした。
2026年9月の年3%と比較すると、約2.8倍です。
ただし、20〜30年前の奨学金制度には現在と異なる部分もあり、1990年代から現在までずっと金利が上昇し続けていたわけではありません。
奨学金には長期間の低金利時代もありました。
重要なのは、最近の金利上昇によって、これから奨学金を借りる人の負担が以前より重くなっているという点です。
300万円借りたら、卒業後いくら返すの?
ここからは具体的に計算してみましょう。
大学4年間で合計300万円の奨学金を借りたとします。
年3%で20年間返済する場合、一般的な元利均等返済による概算は次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 借入金額 | 300万円 |
| 年利 | 3% |
| 返済期間 | 20年 |
| 毎月返済額 | 約16,600円 |
| 返済総額 | 約399万円 |
| 利息総額 | 約99万円 |
300万円を借りただけなのに、返済総額は約399万円。
利息だけで約99万円になります。
ただし、これは年3%が20年間変わらず、毎月同額で返済するという仮定の計算です。
実際のJASSOの返還回数、割賦方法、端数処理によって金額は変わります。
500万円借りたらどうなる?
大学の授業料だけでなく、一人暮らしの家賃や生活費も必要になると、借入額が大きくなる場合があります。
そこで500万円を年3%、20年間で返済する場合を計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 借入金額 | 500万円 |
| 年利 | 3% |
| 返済期間 | 20年 |
| 毎月返済額 | 約27,700円 |
| 返済総額 | 約666万円 |
| 利息総額 | 約166万円 |
利息だけで約166万円です。
毎月約2万7,700円の返済が20年間続く計算になります。
22歳で返済を始めた場合、42歳ごろまで返済するイメージです。
この間には、転職、結婚、子育て、住宅購入など、さまざまな人生の出来事があるかもしれません。
もちろん、借りたお金で専門知識や資格を身につけ、将来の収入を増やせる可能性もあります。
だからこそ、奨学金を借りること自体が悪いのではなく、返済できる見通しを立てることが重要です。
金利0%・1%・2%・3%で返済額はどれだけ違う?
300万円を20年間で返す場合の比較です。
| 年利 | 毎月返済額 | 返済総額 | 利息 |
|---|---|---|---|
| 0% | 約12,500円 | 300万円 | 0円 |
| 1% | 約13,800円 | 約331万円 | 約31万円 |
| 2% | 約15,200円 | 約364万円 | 約64万円 |
| 3% | 約16,600円 | 約399万円 | 約99万円 |
金利が0%から3%になるだけで、利息の差は約99万円になります。
月々の返済額だけを見ると、それほど大きな差に感じないかもしれません。
しかし20年間の合計で見ると、負担はかなり違います。
※いずれも元利均等返済による概算であり、実際のJASSOの返還予定額とは異なる場合があります。
奨学金は消費者金融と変わらないの?
結論は、同じではありません。
ただし、返済が必要な奨学金は借金であるという点では共通しています。
消費者金融の借入金利は、利息制限法によって元本に応じて年15〜20%が上限となっています。
第二種奨学金の基本月額の金利上限は年3%です。
| 比較項目 | 第二種奨学金 | 消費者金融 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 進学費用の支援 | 個人向け融資 |
| 金利 | 基本月額は年3%が上限 | 法定上限は年15〜20% |
| 返済開始 | 原則として貸与終了後 | 契約条件による |
| 返済期間 | 借入額などで決定 | 契約条件による |
| 返済困難時 | 減額返還・返還期限猶予など | 貸金業者との相談など |
金利だけを比較すると、奨学金は消費者金融よりかなり低く設定されています。
ただし、奨学金には長期間にわたる返済義務があります。
「消費者金融と同じくらい危険」と単純に考えるのではなく、低金利でも大きな借金を長期間返すことにはリスクがあると理解するのが正確です。
今後さらに金利が上がったら、奨学金はどうなる?
ここが今回、特に気になったところです。
日本では金利が上昇する局面に入っています。
今後さらに市場金利が上昇する可能性もあります。
ただし、奨学金の金利には重要なルールがあります。
第二種奨学金には年3%の上限がある
第二種奨学金の基本月額の利率は、現行制度では年3%が上限です。
そのため、市場金利が年4%、5%になったからといって、第二種奨学金の基本月額も自動的に年4%、5%になるわけではありません。
なお、入学時特別増額貸与奨学金などを利用した場合には、適用利率が年3%を超えることがあります。
また、将来の法律や制度改正については、現時点で断定できません。
固定方式と見直し方式は何が違う?
| 方式 | 仕組み | 注意点 |
|---|---|---|
| 利率固定方式 | 貸与終了時に決まった利率が原則続く | 後で市場金利が下がっても基本的に変わらない |
| 利率見直し方式 | おおむね5年ごとに利率を見直す | 将来の金利上昇で返済負担が増える可能性 |
例えば、見直し方式で年1%から返済を始めた場合、将来の見直しで年2%や3%になる可能性があります。
逆に、市場金利が下がれば、適用利率が下がる可能性もあります。
つまり、固定方式は返済額を予測しやすく、見直し方式は将来の金利変動の影響を受けます。
どちらが有利かは、将来の金利動向によって変わります。
そもそも20〜30年前にも奨学金の返済問題はあったの?
奨学金の返済が生活を圧迫する問題は、最近突然生まれたものではありません。
以前から、卒業後の収入が十分でない人にとって、奨学金の返済は負担になることがありました。
ただし、「奨学金貧乏」という言葉が20〜30年前にどの程度一般的に使われていたかについては、当時の新聞や出版物などを調べなければ断定できません。
また、昔と今では大学進学率、授業料、雇用環境、奨学金制度も違います。
単純に昔と現在の金利だけを比較して、現在の学生のほうが必ず苦しいと結論づけることはできません。
しかし、昔から返済負担の問題があり、現在もその問題が解消されていないことは、考える必要があります。
奨学金を返せなくなったらどうなる?
「就職できなかったら?」
「会社を辞めたら?」
「病気になって働けなくなったら?」
こうした不安を持つ人もいるでしょう。
返済が難しくなった場合、JASSOには支援制度があります。
- 減額返還制度:一定の条件で毎月の返済額を減らす制度
- 返還期限猶予制度:一定の条件で返済を先送りできる制度
- 返還免除制度:死亡や重い障害など、所定の条件を満たす場合の制度
ただし、減額返還や返還期限猶予は、原則として借金そのものがなくなる制度ではありません。
返済期間が延びることもあります。
また、返済を長期間延滞すると、信用情報への登録や法的手続きなどにつながる場合があります。
返済が難しくなったときは、放置せず、早めにJASSOへ相談することが重要です。
奨学金を借りてまで大学に行くべきなの?
これは簡単に答えが出る問題ではありません。
大学へ行くことで、専門知識を学べたり、資格を取得できたり、将来の仕事の選択肢が広がったりする可能性があります。
一方、大学へ進学したからといって、必ず高収入の仕事に就けるわけではありません。
そこで、進学する場合と就職する場合のメリット・デメリットを考えてみましょう。
| 進路 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 大学進学 | 専門知識、資格、就職先の選択肢が広がる可能性 | 学費や生活費が必要。奨学金の返済負担もある |
| 専門学校 | 仕事に直結する技能や資格を学べる | 学費が必要。学校や資格によって就職状況が異なる |
| 高卒就職 | 早く収入を得られる。学費負担を抑えられる | 応募できる職種や将来の選択肢が限られる場合がある |
どの進路にもメリットとデメリットがあります。
大切なのは、周囲の人が大学へ行くからという理由だけで進学を決めないことです。
大学へ行く目的、必要な費用、卒業後の仕事、返済額を考えておくことが大切です。
中高生が奨学金を借りる前に確認したいこと
- 給付型奨学金の対象にならないか調べる
- 無利子の第一種奨学金を利用できないか確認する
- 授業料減免制度を利用できないか調べる
- 大学4年間の学費と生活費を計算する
- 奨学金をいくら借りる必要があるか確認する
- 卒業後の毎月の返済額を試算する
- 希望する仕事の収入や就職状況を調べる
- 保護者や学校の進路指導担当者と相談する
特に、授業料の減免制度や給付型奨学金は、返済負担を減らすうえで重要です。
世帯収入や扶養する子どもの人数などによって、利用できる制度が異なります。
中高生の疑問をQ&Aで解決!
Q1. 奨学金は借金なの?
返済が必要な貸与型奨学金は借金です。給付型奨学金は原則として返済不要です。
Q2. 奨学金は必ず利息が付くの?
いいえ。第一種奨学金は無利子です。第二種奨学金は原則として利息が付きます。
Q3. 奨学金の金利は今後5%になるの?
現行制度では、第二種奨学金の基本月額の利率は年3%が上限です。市場金利が上昇しても、自動的に5%になるわけではありません。ただし、一部の増額貸与では3%を超える場合があります。
Q4. 奨学金を借りると、大学卒業後すぐに返済するの?
JASSOの貸与型奨学金は、原則として貸与終了の翌月から数えて7か月目に返還が始まります。卒業してすぐの翌月から返済するわけではありません。
Q5. 就職できなかったら返済しなくていいの?
自動的に返済義務がなくなるわけではありません。ただし、条件を満たせば返還期限猶予などを利用できる場合があります。
Q6. 奨学金を返せないと逮捕されるの?
通常、奨学金を返済できないという理由だけで逮捕されるわけではありません。ただし、延滞が続くと督促や法的手続きにつながる場合があります。
Q7. 奨学金を借りると住宅ローンを組めなくなるの?
奨学金を借りているだけで、必ず住宅ローンが組めなくなるわけではありません。ただし、毎月の返済負担や延滞の有無などが審査に影響する場合があります。
Q8. 奨学金を早く返せば利息は減るの?
第二種奨学金では、繰上返還によって将来の利息負担を減らせる場合があります。実際の効果は返還状況によって異なります。
Q9. 大学を中退したら奨学金は返さなくていいの?
いいえ。貸与型奨学金は、原則として中退しても借りたお金を返す必要があります。
Q10. 奨学金は親が返すの?本人が返すの?
JASSOの貸与型奨学金は、原則として借りた学生本人が返済するものです。人的保証を選んだ場合には、連帯保証人や保証人にも一定の責任があります。
Q11. 金利が高くなったから、奨学金は借りないほうがいいの?
一概には言えません。進学によって将来の選択肢が広がる可能性もあります。借入額、金利、返済期間、進学目的を考えて判断することが大切です。
Q12. 奨学金は何歳まで返すの?
借入額や返還方法によって違います。大学卒業後に長期間返済する人もいます。借りる前に返還シミュレーションで確認しましょう。
まとめ:奨学金は夢をかなえるお金。でも、将来の自分が返すお金でもある
奨学金は、経済的な理由で進学をあきらめなくてもよいようにするための大切な制度です。
しかし、返済が必要な奨学金は借金です。
2026年9月に貸与が終了した第二種奨学金では、固定方式の基本月額の利率が年3%に達しています。
300万円を年3%、20年間で返すと仮定すれば、利息は約99万円になります。
500万円なら、利息は約166万円です。
もちろん、これは一定の条件を置いた試算であり、全員がこの金額を返済するわけではありません。
消費者金融とは金利も目的も制度も違いますが、長期間にわたって返済義務が続くことは変わりません。
そして、今後の市場金利の動向によっては、利率見直し方式を選んだ人の返済負担が変化する可能性もあります。
私が特に気になるのは、20年、30年前から奨学金の返済問題があったにもかかわらず、今でも若い人が進学のために大きな借金を背負う場合があることです。
大学へ行くことが悪いわけではありません。
奨学金を借りることが悪いわけでもありません。
ただし、何百万円も借りる契約をするなら、将来どれだけ返済するのかを知っておく必要があります。
奨学金は、今の自分を助けるお金であると同時に、未来の自分が返すお金でもあります。
中学生や高校生のうちから、その仕組みを知っておいて損はありません。
進学するか、就職するか、専門学校へ行くか。
自分の将来を考えるときに、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
参考資料・公式サイト
- 日本学生支援機構(JASSO)・奨学金制度
- 日本学生支援機構・第二種奨学金の利率
- 日本学生支援機構・奨学金の返還
- 文部科学省・高等教育の修学支援新制度
- 金融庁・貸金業法の基礎知識
- 日本銀行・金融政策に関する情報
※この記事は2026年10月27日時点で確認できる制度・公表情報をもとに作成しています。返済額は比較のための概算です。奨学金の申込条件、最新の利率、返還方法については、必ず日本学生支援機構の公式情報をご確認ください。


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